NEWS & COLUMN お知らせ&コラム
3Dプリンターで事業を拡大する4つのステップ
~3Dプリンターの購入を悩んでいる方へ~
近年、積層造形技術は機械本体だけでなく、ソフトウェアや材料など、あらゆる面で大きく進歩している。3Dプリンターが世に出始めたころ、様々な業界から注目されて、その可能性に期待し、多くの3Dプリンターメーカーが技術革新を行ってきました。
3Dプリンターは、従来の製造プロセスとは明らかに異なる利点を持ち、新しい生産方式として登場したのです。McKinsey & Company社では、今日の業務用3Dプリンターは、「今までの3Dプリンターに対するネガティブな要素」を克服しつつあると述べています。3Dプリンターが世に出始めた頃は、通常、試作を作るためだけの機械として使用されていましたが、今日の3Dプリンターは、生産方式のひとつとして確立しています。
3Dプリンターは多くのアプリケーションにとって現実的なソリューションになっています。
初めて3Dプリンターの導入に着手をする企業にとって、どこからどのように手をつければよいのか分からないことがあります。この記事では、初期の検討段階から工業規模の生産に至るまで、3Dプリンターを導入する事により、事業を拡大するためのステップをご提案します。
なぜ3Dプリンターで事業を拡大するのか?
3Dプリンターで事業の拡大を成功させるには、単に3Dプリンターを購入するだけでは不十分です。適切なアプローチをとることで、3Dプリンターの購入による投資収益率(ROI)を最大化すると同時に、不要なリスクを回避することができます。
まだ購入を悩んでいる企業では、以下の点を考える必要があります。
- 現在の製造プロセスに課題や問題点はあるのか?
- 3Dプリンターに求める点、譲れない点はなんですか?
- 日々のワークフローに3Dプリンターをどのようにフィットさせる?
- 従業員への教育はどのように行う?
- 上手くいかなかった場合、失敗した時のリスクヘッジは?
- 導入成功の定義はなんですか?
- 最適な3Dプリンターを選定出来ていますか?ベンチマークは実施しましたか?
Step 1: 3Dプリンター専門チームの構築
成功するビジネスモデルは、どんな状況でも強力なチームから始まります。会社全体で3Dプリンターを使用する場合でも、関連する関係者とともに1つの専門的な積層造形チームを構築する必要があります。このチームは、積層造形に関連するすべての最新情報と知識を共有するためのリソースとして機能させることができます。
本格的にチームを発足する為の準備段階として、そこまで高価でないデスクトップ型の3Dプリンターを1~2台導入して技術検証を実施することを推奨します。
この段階で、設計チームや製品開発チームは、価格による3Dプリンターのクオリティの違いや、3Dプリンターのソフトウェア、および基本的な設計や造形のワークフローに慣れることができます。
初期の3Dプリンターと異なり、最新の3Dプリンターは、より使いやすくなっており、学習曲線もかなり緩やかになっています。最先端の3Dプリンターは、積層造形の専門知識がなくても十分に使用する事が出来ますが、次のステップへ行くためには、3Dプリンターに特化したチームが必要になってきます。
Step 2: いざスタートへ
1台以上のプロフェッショナルな3Dプリンターがあれば、従来の製造プロセスから3Dプリンター造形品の生産を徐々に移行することができます。この段階では、重要度の低い部品に焦点を当て、プロトタイプや治工具などのアプリケーションに3Dプリンターを使用することが望ましいと言えます。
Markforged(マークフォージド)の3Dプリンターは、1台で複数の材料を使用する事ができるため、価格を抑えたい試作から強度が必要な治工具を1台で造形する事が出来ます。
ここで、どの部品が積層造形に最適かを判断するために、設計チームが関与する必要があります。3Dプリンターが1台か2台しかない場合でも、その3Dプリンターを最大限に活用するために、どの部品を3Dプリンティングで製造するのが最も合理的かを判断するための具体的な基準を示す必要があるのです。
この基準を確立するために、3Dプリンター技術のコアとなる「3Dプリンター専門チーム」が必要になってきます。他の関係者や部門を必ず巻き込み、組織全体へ積層造形のメリットを広め、より大規模に導入するための賛同を得るようにする必要があります。
重要なのは、既存の部署で3Dプリンター技術者を育てるのではなく、3Dプリンター技術の基準や基盤となるチームを発足し、そのチームを中心に社内全体へ3Dプリンターを展開する事です。
Step 3: 実験と確立
この段階の組織は、3Dプリンターをより包括的に実験する準備が整っています。製品開発チームと設計チームは、設計の考え方をより広範囲に広げ、実験する必要があります。
Markforged(マークフォージド)においては、材料の選定だけでなく、強度試験やカーボンファイバーの積層方法など、デフォルト設定ではなく、論理的にパラメータを変更する能力が求められます。
これらの知識が確立すると、3Dプリンター専門チームは、製品開発や設計チームにもこの情報を共有する事が出来る段階になっています。
3Dプリンターに特化した新しいワークフローが構築され、迅速に試作・検証された部品が生産されるかもしれません。また、3Dプリンター専門チームのエンジニアやオペレーターは、DfAM(Design for Additive Manufacturing)、品質管理手法、および3Dプリンター特有の生産管理など、より深い部分まで知識を得る必要があります。
Step 4: 評価と規模拡大
この段階まで来ると、すでに多くの部品を3Dプリンターで造形しており、3Dプリンターのメリットを活かしているかと思います。次のステップは、3Dプリンターの使用をより幅広い用途に拡大し、専門家による業務管理でプロセスを正式化/正当化することです。
付加価値と投資収益率(ROI)が評価されるにつれて、組織は3Dプリンターの導入を検討することになります。金属3Dプリンターと大型3Dプリンターを導入すれば、生産能力が強化され、3Dプリンターのメリットがビジネスの新たな機会に拡大されます。
全国的に展開をしている大手企業の場合、分散型製造モデル(多数の業務用3Dプリンターを異なる製造拠点に配置し、それぞれが同じクラウドネットワークに接続されている)を採用すれば、サプライチェーンを合理化して、在庫を削減したJIT(ジャストインタイム)製造戦略を可能にすることができます。