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コラム 2022.07.05 更新

3Dプリンターの利用を政府が推進 米国政府発足プログラム AM Forward Program

3Dプリンターの利用を政府が推進 米国政府発足プログラム AM Forward Program

2022年5月6日(金)、バイデン大統領は「Additive Manufacturing Forward」(以下AM Forward)と呼ばれる新しいプログラムの開始を発表しました。

連邦政府は、今日の3Dプリンター技術を利用して、アメリカ国内の製造業におけるサプライチェーンを回復させることを目的としています。中小企業へ3Dプリンターを推奨することで各中小企業は、米国全体のサプライチェーン回復へ貢献し、同時に3Dプリンターを使った事業拡大が可能になります。

この記事では、「Additive Manufacturing Forward」(以下AM Forward)の詳細を説明し、3Dプリンターが製造業において、どのような使い方をされているか考えていきます。

Additive Manufacturing(AM)とは?

アディティブ・マニュファクチャリング(以下AM)は、つまり3Dプリンターの事です。
削って加工するのではなく、追加(Add)して加工をする一連の技術の事である。
3Dデータを2Dデータにするスライサーソフトを使用して、2次元のデータを3Dプリンター本体に取り込み、積み重ねて立体物を製作します。CADデータのようなデジタルデータを現物として起こすことが出来るのです。

Additiveの逆でSubtractive Manufacturingと言われるものは、従来の切削加工で減少(Subtractive)して加工をする技術です。この場合は、削った材料を捨てる事になり、環境的にも良くないという事で、近年AM技術はさらに注目を集めております。

3Dプリンターは、使い方次第で従来の製造方法を置き換える能力もありますし、パワーアップさせる能力もあります。3Dプリンターは主に以下のようなメリットがあります。

  • 必要な時に必要な分だけ部品を製造
  • 従来の製造方法では作れない複雑な形状のパーツを製造
  • 部品点数の削減
  • 少量生産部品の1個当たりのコスト削減
  • 必要な時に必要な分だけ造形することにより、部品のリードタイムを短縮することが可能
  • 拠点間の部品輸送に伴う煩雑さを回避できる

今日のAM技術の進歩により、3Dプリンターは、様々な産業で使用されるようになりました。
プラスチックも金属も3Dプリンターで造形することができ、航空宇宙産業のような特殊で規制の厳しい業界でも使用されています。

3Dプリンターは、クラウド接続、ビッグデータ、スマートセンサー、人工知能(AI)、高度な自動化など、急成長するテクノロジーによる製造業のデジタル化を意味するインダストリー4.0に基づく技術であり、各国で製造業のデジタル化が促進されている中、必要不可欠な存在になりつつあります。

米国政府発足のAM Forwardとは?

AM Forwardは、2022年5月6日に開始された連邦政府のプログラムです。ホワイトハウスの公式声明で説明されているように、AM Forwardは 大手メーカーと米国に拠点を置く中小のサプライヤーとの間のプログラムです。

現在、このプログラムには5つの大手メーカーが初期参加者として表明しております。参加している大手メーカーはそれぞれ、米国内に拠点を置く中小のサプライヤーを支援し、3Dプリンターの導入を支援する予定です。

このプログラムは、参加する5つの大手メーカーは、以下の事を公約します。

  • 国内の中小サプライヤーから3Dプリンターで造形された部品を購入する。
  • 国内の中小サプライヤーの従業員にAM技術に
  • 関する研修を実施する。
  • 国内の中小サプライヤーのAM技術を支援する。
  • AM技術および製品の規格/認証の貢献

なぜAM Forwardは発足された?

AM Forwardは、世界的なサプライチェーンの混乱に対応して、国内のサプライチェーンの安定性を高めると同時に、米国の中小企業同士の競争力を向上させるために開始されました。国内でより強靭なサプライチェーンを構築し、海外のサプライヤーへの依存度を下げることで、製造する商品のコストを下げ、ひいてはインフレ率に対抗することができます。
所謂、GDPを向上させる目的があります。

ホワイトハウスは、AM技術をそのための重要な技術として挙げています。米国の中小サプライヤーの間でAMの採用が進めば、国内の製造エコシステムにおいて、促進しながら、より強靭なサプライチェーンを構築することができます。

そこで、AM Forwardは、これらのサプライヤーがAMを採用する際の障壁を取り除くことを目的としています。
米国の中小規模のサプライヤーがこれまで3Dプリンターの導入において障壁となっていな原因は以下の通りです。

  • 3Dプリンターで造形をしたパーツに対する不信感
  • 3Dプリンターを導入する程の資産がない

AM Forwardプログラムは、大手メーカー5社が公約を準拠する事により、これらの障壁に対処しています。

AM Forwardの目的は?

AM Forwardは、提携するサプライヤー企業に最先端の3Dプリント技術を提供することを目指しています。これは、サプライヤーと大手メーカーの両方にとって競争力を高めることになる。サプライヤーから一貫してAM製造部品が供給されることで、大手メーカーは自社プロジェクトの設計において、より多くのAM製造部品を認定し、導入することができるようになる。

ホワイトハウスが発表したAM Forwardの主な目標は以下のとおりです。

  • 中小企業への3Dプリント技術の導入に投資することで、米国内メーカーにより革新的で柔軟性のあるサプライチェーンを構築する。
  • 3Dプリンターのような革新的技術の導入障壁を低減し、インダストリー4.0と先進製造技術の成長を促進する。
  • 地域の製造エコシステムにおける3Dプリント技術の導入に投資することで、米国内で発明・製造される製品を増やす。

AM Forwardに参加する大手メーカー

AM Forwardの最初の参加者は、GE Aviation、Honeywell、Lockheed Martin、Raytheon、Siemens Energyの大手メーカー5社と、これらの会社を支える米国内の中小規模のサプライヤーである。

5大メーカーの援助を受けながら、3Dプリント技術の主な受け皿となるのは、米国内の中小企業である広大なサプライヤー・ネットワークである。
大手メーカー5社は、良くも悪くもこれらのサプライヤーに依存しています。

さらに、米国の研究機関である”ASTRO America”は、3Dプリント技術や規格を確立させ、最終的にはAM Forwardのコーディネータとしての役割を果たします。各大手メーカーの活動範囲は広く、3Dプリンター特有の部品を製作する機会もあるため、このプログラムではMarkforged(マークフォージド)だけでなく、さまざまな種類の3Dプリンターが利用されることになりそうです。
ホワイトハウスのAM Forwardの発表では、どのメーカーも参加できるとしています。

大手メーカーによる現在の公約

プログラム開始時点で、当初の大手メーカーが表明している公約は以下のとおりです。
(出典:Whitehouse.gov)

  • GE Aviation社
    見積もり依頼の50%は国内の中小企業サプライヤーを対象とする。
    AM製品の30%を国内の中小企業サプライヤーから調達することを目指す。
  • Raytheon社
    AM製品の調達プロセスの簡素化と加速を支援する。
    AM製品の見積もり依頼の50%以上は国内の中小企業サプライヤーを対象とする。
  • Siemens Energy社
    AM製品の20~40%を国内の中小企業サプライヤーもしくはパートナーから調達することを予定。
    国内の中小企業サプライヤー10~20社に対して、AM能力の向上と実装を支援する。国内の中小企業サプライヤー10~20社に対して、後処理と部品検査に関するトレーニングを行う。
  • Lockheed Martin社
    国内の中小企業サプライヤーと共同研究プログラムを実施する。
    鋳造品や鍛造品の代替品として、3Dプリンターの性能向上に焦点を当てた研究を行う。大学プログラムへの参加を通じて、3Dプリンターに関する教育を行い、将来の労働力のための才能を育成することを目指す。
  • Honeywell社
    AM製品およびサービスの見積もり依頼し、サプライヤー間で競争することを目標とします。これには、工具、機械、プロセス開発、およびその他の製品が含まれます。
    部品設計、データ作成、機械操作、後処理、部品検査、品質管理などにおいて、国内の中小企業サプライヤーを支援する。

中小企業メーカーを支援するその他の米国連邦政府プログラム

AM Forwardの他にも、米国の中小企業が3Dプリンターを導入する際に助けとなるプログラムがあります。

  • 米国農務省のBusiness and Industry program
  • The Export-Import Bank’sの国内融資プログラム
  • 米国中小企業庁の504 Loan Programおよび中小企業投資会社(SBIC)プログラム。

連邦政府と3Dプリンターメーカーが提供する技術支援

  • 中小企業に対しては、オークリッジ国立研究所が主催する、さまざまなAM技術やノウハウのテストが行われます。
  • 中小企業にレベルの高い技術支援を提供する”The Manufacturing Extension Partnership”
  • 国防総省(DOD)のMentor Protégé Programは、経済的に不利な立場にある米国の小規模サプライヤーに技術支援を提供するために必要な費用を調達します。
  • AM Forwardの参加者は、America Makesと協力して、労働者向けのAMトレーニングカリキュラムを開発しております。

日本においても、3Dプリンターを導入する際に使用出来る公的支援制度があり、ものづくり補助金などもその一部です。
世界各国で3Dプリンターの利用を推奨する動きが進んでいる中、モノづくりが流動的に変化しているのが分かる。近い将来、従来のモノづくりが一変する事は無いかと思いますが、3Dプリンターがモノづくりにおいて必要不可欠な存在になりつつあるのは事実である。



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