株式会社 データ・デザイン Artec3D|ハンディ型スマート3Dスキャナ

CASESTUDY 導入事例

Artec RayⅡ建設/建築工業デザイン&製造Artec LeoArtec Studio

大型掘削機のカスタマイズを3Dスキャンで効率化

4C Creative CAD CAM Consultants

2026.02.25 更新

Artec Leo

【課題】

特定のプロジェクト要件に合わせ、大型で複雑な産業用機械をカスタマイズすること。今回のケースでは、機械の作業範囲(リーチ)を広げるため、標準よりも長い「ロングリーチ油圧アーム」の取り付けが求められました。

【結果】

元の機械全体を、高精度な3Dモデルとして再現することに成功。リバースエンジニアリングや改造設計に不可欠な精度を確保し、大規模な掘削作業に耐えうるカスタマイズを実現しました。

■ ソリューション

■ Artec 3Dを選ぶ理由

「Artec Leo」は複雑な細部を精密に捉え、「Artec Ray II」は広範囲をスピーディにキャプチャします。この2台を組み合わせることで、巨大なオブジェクトやエリア全体を短時間でデジタル化でき、かつ重要な箇所については高解像度で詳細な形状データを取得できる、極めて強力なソリューションとなります。

顧客のワークショップに設置されたArtec LeoとRay II。画像提供:4C Creative CAD CAM Consultants

 

世界中のあらゆる建設プロジェクトの現場では、過酷な作業を担う重機たちが主役として活躍しています。掘削機、トラクター、クレーンといった車両には、高い安全性と効率性、そして現場ごとの「用途への適合性」が不可欠です。しかし、この適合性の基準は、プロジェクトの内容によって大きく変動します。

通常、ロボットアーム先端のアタッチメントを交換するだけで、産業用機器はある程度の柔軟な対応が可能です。しかし、現場の障害物や最低地上高、あるいは環境特有の危険因子によっては、より抜本的な改造が求められるケースも少なくありません。

こうした難題を解決するのが、4C Creative CAD CAM Consultants社です。Artecアンバサダーを務める同社は、過去6〜7年にわたりオランダの掘削業者へ高度なソリューションを提供してきました。今回のプロジェクトで依頼されたのは、全長10メートルにおよぶ巨大車両のデジタル化です。この車両は、複雑な内部構造を持つキャビン、空気ろ過システム、そしてキャタピラー(Caterpillar)社製の履帯(クローラー)を備えた旋回プラットフォームに、巨大な掘削用ブームが取り付けられた非常に複雑な構成となっていました。

車両のキャタピラー製トラックの3Dスキャンを画面上に表示しているArtec Leo。画像提供:4C Creative CAD CAM Consultants

従来、このような大型かつ複雑な構造物のCADデータを取得するには、膨大な時間をかけて手作業で綿密なモデリングを行う必要がありました。しかし、3Dスキャンの導入により、4C社は機器の「ありのままの姿」を瞬時にキャプチャし、そのデータを後の精密な計測に直接活用できるようになりました。

さらに、Artec LeoとArtec Ray IIを併用することで、広範囲なスケール感と細部の精度のどちらかを犠牲にする必要がなくなりました。大型スキャンと高精細スキャン、それぞれの長所を最大限に引き出した理想的なデータ作成が可能になったのです。

LeoとRay II:理想的なコンビネーション

ディスプレイ、バッテリー、プロセッサを内蔵した「Artec Leo」は、単体でも大型オブジェクトのキャプチャを自在にこなす高い機動力を持っています。今回のプロジェクトでは、さらに広範囲かつ長距離のデータを補完するため「Artec Ray II」を導入し、スキャン能力を最大限に引き出しました。例えば、車両の他の部位よりも高い位置にあるロボットアームは、手持ち式のLeoではアクセスが困難な場所でしたが、据置型のRay IIにとっては絶好のスキャン対象でした。

もう一つの大きな課題は、車体下部のキャプチャでした。数トンの重量がある重機の底面は地上からわずか80cmという狭い隙間にあり、潜り込んでのスキャンには危険が伴います。ここで最適解となったのが、Ray IIを三脚から取り外し、地面に直接設置する手法でした。この工夫により、作業者がリスクを負うことなく、車体下面の細部まであらゆる角度から迅速かつ容易にデータ化することが可能になりました。

顧客の油圧アームの横に設置されたArtec Ray II。画像提供:4C Creative CAD CAM Consultants

顧客の要望に応えるため、4C社は重機の階段部分のデータ化も任されました。この難所のキャプチャこそ、LeoとRay IIの真価が発揮された場面だったと、同社の共同オーナーであるロジャー・ラパード(Rogier Rappard)氏は振り返ります。

「クライアントは、車両の階段部分を延長したいと考えていました」とラパード氏は語ります。「ここでの課題は、細い手すりや複雑な階段の形状(ジオメトリ)をキャプチャする際、データのトラッキングが途切れやすいことでした。また、Leoだけで進めると、膨大な数のスキャンデータを一つひとつ位置合わせする手間も生じます。そこで私たちは、まずRay IIを使って側面から広範囲を一気にキャプチャしました。その上で、最も精度が求められる重要な箇所に絞って、Leoによる高解像度スキャンを行うという手法をとったのです。

ワンクリックで異なるデータセットを統合

3Dスキャンの成否は、多くの場合ソフトウェアの性能に左右されますが、Artec Studioはその最たる例と言えます。このソフトウェアには、独自の「スマートメッシュ化(Smart Fusion)」機能が搭載されています。これは、長距離(Ray II)と短距離(Leo)の異なるデバイスから得られた点群データを単に統合するだけでなく、常に「最も解像度の高いデータ」を優先的に採用し、最高品質の3Dモデルを生成する機能です。

もちろん、データ処理を完全にコントロールしたいユーザーは、手動でスキャンの位置合わせを行うことも可能です。4C社は、形状(ジオメトリ)の特徴点に基づいて各スキャンデータを位置合わせし、ソフトウェアの「シャープメッシュ化」アルゴリズムを用いて統合しました。この手法は、マーカー(ターゲット)を使用する従来のワークフローと比較しても極めて精度が高く、「はるかに効率的で、作業時間も大幅に短縮できた」とロジャー・ラパード氏は語っています。

このプロジェクトでは、データの「スキャン単純化(デシメーション)」機能が極めて重要な役割を果たしました。もし構造化光3Dスキャンのみで車両全体をキャプチャしていたら、データ容量は約50GBという膨大なサイズになっていたはずです。しかし、最終モデルから不要なポリゴンを適切に削除することで、データ容量をわずか300MBまで削減。これにより、改造設計を行うサードパーティ製ソフトウェアへのエクスポート作業が大幅に効率化されました。

また、完成したメッシュデータをそのまま共有できるArtec Studioの機能も、直感的なワークフローに大きく貢献しています。一般的に、生の点群データ(ポイントクラウド)を拡大すると表示に歪みが生じ、正確な計測が困難になる場合があります。しかし、Ray IIで取得した点群は、テクスチャ処理や仕上げが施された「即戦力」のOBJやSTL形式として直接出力可能です。これらのメッシュデータを用いることで、CADプリミティブ(基本形状)を活用した直交計測も容易に行えるようになります。

ラパード氏によれば、Artec Studioの内蔵ツールは、設計の参照点となる特徴(フィーチャー)の抽出など、多岐にわたる用途に対応しているといいます。今回のプロジェクトにおいて、収集された高精度なデータは、改造後の耐久性を担保するための「強度解析シミュレーション」において、極めて重要な基盤となりました。

ユーザーを圧倒する革新的テクノロジー

法科学から防衛産業まで、4C社は「Leo」と「Ray II」を組み合わせることで、3Dスキャンの新たな可能性を切り拓き続けています。LiDAR(広域計測)とハンドヘルド型(近接計測)のデータをこれほどまでにシームレスに統合できるソリューションは、他に類を見ません。初めてそのパフォーマンスを目の当たりにするユーザーの多くは、その圧倒的な結果に驚きを隠せないといいます。

「お客様を訪問するたびに、Artec Studioによる位置合わせがいかに簡単で、正確であるかを実感します。2つのデータから共通の形状(ジオメトリ)を見つけ、それらを重ね合わせるだけで完了するのですから」とラパード氏は締めくくります。

「お客様からはよく『異なるスキャンデータを組み合わせることは本当に可能なのか?』『一体どういう仕組みなんだ?』と質問されます。そこで実際に、そのプロセスのシンプルさを実演してみせると、皆さんはこのテクノロジーがもたらす可能性に、いつも言葉を失うほど感動してくださるんですよ」

Artec Studio上でArtec Leoを使用してキャプチャされた、キャタピラー製トラックの3Dモデル。画像提供:4C

 

あらゆる環境下で大型オブジェクトをデジタル化できる汎用性は、実際の現場において計り知れない利益をもたらします。例えば別のプロジェクトで、4C社が工場設備のデータ化を依頼された際のこと。従来の計測手法では、データの取得に2〜3日間も生産ラインを停止させる必要がありました。しかし、Leoを投入したことで、全体のダウンタイムはわずか2時間にまで短縮されたのです。さらにRay IIを併用すれば、この効率的なアプローチをより大規模な設備へと拡張することも可能になります。

もちろん、LeoとRay IIはそれぞれ単体でも優れたパフォーマンスを発揮します。今回の車両のケースでも、Leoは構造全体を高解像度でデジタル化する能力を証明しましたし、Ray IIもまた大型オブジェクトを容易にキャプチャできます。しかし、この2台を組み合わせることで初めて、「重要な箇所には最高レベルの精度を維持しつつ、扱いやすい軽量な3Dモデルを生成する」という高度な運用が実現しました。この卓越した汎用性こそが、産業分野のみならず、あらゆる領域でこのテクノロジーが急速に普及している最大の理由なのです。



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