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コラム 2025.07.11 更新

3DスキャナーとGeomagic Design Xで電動バイクの設計を革新

多くの製造プロセスではCADモデルが必要になります。現物のCADモデルを作成する場合、最初から作るよりも3Dスキャンを基にする方がはるかに効率的です。3Dスキャンの分野ではこのアプローチを「スキャン・トゥ・CAD(Scan-to-CAD)」ワークフローと呼びます。この方法を用いることで、ある著名な自動車メーカーは洗練された試作モデルを迅速に製造可能なデータへと変換することに成功しました。

Blackstone Tek(BST)は、オートバイ向けのカーボンファイバー製品を専門に製造している企業です。レーシングへの情熱を原動力に、同社は革新的で最先端のパーツを生み出しています。その製品には超軽量かつ高強度のホイール、燃料タンク、スイングアーム、フェアリング、そして名だたる自動車ブランド向けのカスタム部品などが含まれています。

BSTの製品ラインアップに新たに加わったのが、電動バイク「HyperTek」です。このモデルは、Pierre Terblanche氏のビジョンによって生まれました。彼はDucatiの999、ハイパーモタード、スーパーモノといった世界的に有名なバイクのデザインを手がけた人物として知られています。

このBST製電動バイクのプロトタイプを制作する際、Terblanche氏はCADモデリングと手作業による造形を組み合わせたアプローチを採用しました。複雑な曲面を持つコンポーネントは手作業で造形されており、それらを製造に適したCADモデルへと変換する必要がありました。

ここで登場するのが3DWORXです。南アフリカに本社を構える3DWORXは、高精度な3Dスキャン、CAD設計、リバースエンジニアリング、3Dプリンティングといった分野でサービスを提供しています。またサブサハラ地域におけるeviXscan 3Dスキャナーの正規販売代理店としても活動しています。

Blackstone Tekの電動バイクプロジェクトを見た3DWORXは、モデルをデジタル化する最も効率的な方法として、スキャン・トゥ・CADワークフローを採用することを決定しました。彼らのソリューションは、3Dスキャンとリバースエンジニアリングを組み合わせたものでした。
作業には、3Dスキャナー、3Dスキャンソフトウェア、そしてGeomagic Design Xが用いられ、すべてのコンポーネントがCAD上で正確に再現されました。

ワークフロー

3DWORXはパラメトリックCADモデルを作成するために、シンプルな4ステップのワークフローを導入しました。

ステップ1:スキャン
最高レベルの精度を確保するために、構造化青色光スキャナーを用いて側面のパターンをスキャンしました。各パターンには非常に薄い白色のコントラストスプレーを施し、さらに専用のマーカーを貼り付けることで、複数のスキャンデータを専用ソフトウェア上で事前にアライメント(位置合わせ)できるようにしました。

ステップ2:メッシュ化
リバースエンジニアリングのため、3DWORXは次の3つのステップをGeomagic Design X上で実施しました。
まずスキャンデータから高精度なサーフェスメッシュを生成し、マーカーの除去、穴埋め処理、不要部分の編集を行います。

ステップ3:サーフェスの作成
ジオメトリックな表面特徴を抽出し、有機的な形状の部分に沿った形状追従サーフェスを生成します。

ステップ4:3Dパラメトリックモデルのエクスポート
ジオメトリやトポロジー、モデリング履歴、各種パラメーターをエクスポートし、Fusion 360、CATIA、PTC Creo、SOLIDWORKSなど、多様なフィーチャーベースのCADシステムで活用できるようにしました。

自動車業界における3Dスキャンの未来

自動車業界における3Dスキャンの活用例は非常に多岐にわたります。新製品開発にとどまらず、破損や摩耗した部品のリバースエンジニアリング、品質検査、車両のカスタマイズ、さらにはイベント用の3Dビジュアライゼーションなどにも利用されています。



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