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CASESTUDY 導入事例

アート&デザイン

3D で作り出す斬新な 2D グラフィックス

相樂 園香 氏

2021.06.17 更新

Artec Leo

平面デザインは 2D グラフィックスソフトから生み出すもの。
そんな固定概念を払拭し、新しいデザイン表現を追求し続けるのが、メイカー/ファブリケーションディレクターの相樂園香さんだ。Fusion 360 を駆使する彼女の手にかかれば、“3D to 2D”の新しいグラフィックスが生まれる。そんな彼女は 3D ものづくりとどう出会い、Fusion 360 のどこに惹かれたのか。

イメージを形に

メイカー/ファブリケーションディレクターとしてマルチに活躍する相樂園香さん。美大在学中はグラフィックとキュレーション(アートイベントのマネジメント)を中心に、写真、立体、映像、服飾のテキスタイルなどさまざまな分野のアートを実践してきたが、デジタルの 3D に関してはまったく触ったことがなかったという。

「『アドビ・イラストレーター』などの 2D グラフィックソフトは利用していましたが、立体造形は粘土をこねたり、ステンドグラスを削ったりと、アナログの経験しかありませんでした」

そんな相樂さんが卒業後に上京して働き出したのは東京・渋谷にあるデジタルものづくりカフェ「ファブカフェ(FabCafe)」。当時はまだ珍しかった 3D プリンタやレーザーカッターを店内に備え、デジタルファブリケーションのイベントやワークショップが頻繁に開催される職場だった。当然ながら運営スタッフとして、3D ソフトの操作についても熟知することが求められる。

勉強のためにと高機能な業務用 3D モデリングソフトに挑戦したものの、マウスの動かし方からしてわかりづらく、あえなく挫折。そんな折に出会ったのがオートデスク社の Fusion 360 だった。

「Fusion 360 は操作性が直感的で、“回転”とか“押し出し”とかアイコンを見ながらたいていの操作ができます。頭の中でイメージしたものを形作るのにうってつけで、グラフィックデザインをやっていた者としても自然に入り込めます。企業用ライセンスもわずか数万円ですし、何より非営利目的なら無料で使えるのが最高です」

画面の中がスタジオに

ものづくりの仕事がきっかけで 3D ソフトの面白さに目覚めたという相樂さん。これまでの 2D グラフィックとの違いはモノの見方の自由度にあるといいます。
「2D だけだと、描いているモノの形がどのような構造でできているのかを深く考えなくても済みますが、3D ではそうはいきません。たとえば植木鉢のような単純な形状であっても、ある断面を回転させて底に穴を開けるのか、上下別に作って組み合わせるのかなど、立体的な発想が求められます。完全に 2D と使う脳が違うのが面白かったです」

新たな視点が求められる一方で、3D ならではの大きな利点を見つけた相樂さん。中でも、作成したオブジェクトの表現を自由に変更できる点を挙げる。
「2D で描いたモノはあとから色を変えるくらいしかできませんが、3D では角度を変えたり、光源の位置や明るさを変えることもできます。たとえるなら“撮影スタジオ”がそこにあるようなイメージですね。3D によって、2D の表現も広げられるというわけです」
そう言って見せてくれたのは、CM 動画用に作成したネオンサインのグラフィック。実物を撮影したようにも見えるが、これは Fusion 360 で作成した 3D モデリングデータだ。

「実際のネオン管がどのように作られているのかをよく観察してからデータを作成しました。ネオンサインは 1 本のパイプを曲げて作られていますが、 usion 360 にも線のデータをパイプ形状にする機能があるのでそれを用います。背後に隠れて発光しない部分も折り曲げていますが、実際のネオン管には存在しないような角度で曲げると不自然になってしまうのです。しかし、Fusion 360 は干渉があるとエラーを返してくれるので、とことんリアルさを追求できます」
それに加えて、いったんモデリングデータを作成してからも光の強さや色合い、影の落ち方などのバランスを整えることで、完成度をさらに高められるのだという。

「『ピンクのネオン』だからといってネオン管自体をピンク色に塗ってはリアルさが損なわれます。この場合は影の設定をピンクにすることがポイントなのですが、明るすぎると今度は影が白くなってしまいます。そのバランスの調整は苦心したところです。でも、限られた時間でも納得いくまでクオリティを追求できるのが Fusion 360 のいいところですね」

画面の中がスタジオに

短期間で 3D クリエイターとして独立し、多くの商業作品を制作するようになった相樂さん。彼女がクリエイティブで大事にしていることは「3D ソフトで何を作るか」ではなく、「作りたいものを 3D ソフトを通じて表現すること」だと話す。

「2D と 3D でそれぞれ違いはありますが、3D で作ったものは 2D グラフィックにも活かせますし、2D で必要な観察力は 3D のクオリティ向上には欠かせません。2D や 3D を分けて考える必要はないのです。もちろん、3D に特有のコツもありますが、Fusion 360 はソフト自体が簡単に扱えますし、サポートもしっかりしています。ユーザコミュニティも活発で、調べたり質問すればすぐにその先に進めます。すでにグラフィックをやっている人こそ、表現を広げるために 3D にチャレンジしてほしいです」



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