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コラム 2025.10.09 更新

航空機のプロトタイピング

Archer Aviation, Inc.は、次世代エアタクシーとして注目される電動垂直離着陸機(eVTOL)のリーダーとして、空の旅を再定義しようとしています。Julien Thiebaud氏は、航空機の内装を手掛けるデザインスタジオで先進技術部門のデザインマネージャーを務めています。このスタジオでは、FDM(熱溶解積層)方式やSLA光造形方式の3Dプリンターを駆使し、実物大のモデルやプロトタイプを制作しています。

Julien Thiebaud氏は、「当社では常に何かをプリントしており、Archerから発表されるものはすべて、どこかの時点で必ずこのスタジオを経由します」と語っています。Archerの工業デザインチームは、その大半の時間を高度な材料を使用した機能確認用の試作に費やしています。これらの試作品は優れた表面品質と厳しい公差を維持しながら、性能基準を満たさなければなりません。そのため3Dプリンタを選ぶ際には「信頼性、スピード、表面品質、カスタマーサービス」を最も重視していると、Thiebaud氏は述べています。

「私は車のデザインを担当しているので、こだわりが強いんです。Formlabsのように、最初から最後まで全てが素晴らしい企業に出会ったのは久しぶりです。マシンの開梱からユーザーエクスペリエンス、ユーザーインターフェース、マシンのデザインと美しさ、造形品質、そしてカスタマーサポートに至るまで、全てが完璧です」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

Form 3L・FDMからForm 4Lでさらに高速化

「大型の部品だと約12時間かかりますが、同じものを3Lで作ると35時間です。これまでとは天と地の差があります。それに、今すぐ大至急でお願い、というような土壇場でのリクエストは常に発生しますが、Form 4Lを導入した今はそれに応えることができます」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

3Dプリンターを導入する前は、CADシミュレーションで試作品をテストしたり、手作業でCNC試作品を製作・テストしていましたが、どうしても時間とコストがかかっていました。しかし3Dプリンターを取り入れたことで、時間とコストの両方で効率が大きく改善されました。FDM(熱溶解積層)方式とSLA光造形方式の3Dプリントにより、これまで以上に迅速に試作品を製作できるようになったのです。

Form 4Lが登場するまでは、Thiebaud氏はForm 3Lよりも高速で部品が軽量なため大型部品はFDMでプリントし、より滑らかな仕上げが必要な場合にはForm 3Lでプリントしていました。しかしForm 4Lの登場により、一部の部品のプリント時間がForm 3Lの10時間からわずか1時間に短縮されました。

「Form 4Lのスピードは、社内にある最速のFDMプリンタですら顔負けするほどです。私のチームの作業では、何か設計を始めるときにもはやFDMを考えることは無くなりました」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

Form 4Lのスピード向上により、チームは1週間に行える試作・検証サイクルの反復回数を増やすことができました。ヘッドレストの試作品では、表皮やステッチの配置をテストするための下地と取付具を3Dプリントしていますが、Thiebaud氏は「Form 4Lで3Dプリントすれば、週に5つの異なる設計と5回の異なるテストを行うことができ、試作品製作の時間を半分にできる」と語っています。

高性能な試作品

「構造的剛性を確保するために、シャーシの一部であるブラケットとブレースの製作が必要でした。最初はFDMで3Dプリントしたのですがうまく機能せず、その後もいくつか違う技術を試しましたが、Form 4でプリントしたらすぐに完璧なものが出来上がりました」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

Thiebaud氏は照明システム用の小型部品や輸送機器の内装デザイン(シート、ダッシュボード、キャビンのフィニッシャーなど)、さらには建築用の縮尺模型などの試作を行っています。これらの部品の中には高温に耐え、化学物質に対する耐食性が求められるものもあります。こうした特性を必要とする試作品には、Thiebaud氏はFormlabsのレジンの中で最も高い熱たわみ温度(HDT)を誇るHigh Tempレジン(238°C@0.45MPa)を使用しています。

「試作品は量産品と非常に近い状態で使用されるので、引張強さや機械的特性が実製品用部品の性能と一致することが大切です」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

SLA光造形で作られた造形品は、等方的であり、試作品に求められる機能的な要求にも十分応えることができます。Formlabsの材料科学者たちはForm 4の技術を駆使して、機械的特性や外観を向上させた改良版レジンを発表しました。この新しいレジンは、より高速なプリントを実現しつつ、性能向上も同時に達成しています。

「ClearレジンV4とV5の違いには驚きました。全く同じ部品をプリントしましたが、透明度が大幅に向上しています。数日間クリアコートを塗り忘れていたことに気づかなかったことさえあり、その間も部品には何の問題もありませんでした。つまり耐UV性が大幅に向上したということがわかります」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

後処理・仕上げの時間を節約

「品質は本当に素晴らしいです。Form 4を導入してからというもの、造形品の サンディングや仕上げにかかる時間が 80%削減されました。工具を使わずに、指だけで全てのサポート材を取り除けるという点が気に入っています。取り外した造形品を洗浄し、硬化させ、そしてすぐに試作品に取り付けられます。手作業での仕上げが必要な場合もごく僅かで済みますし、全体的な品質には驚かされます」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

プリントにかかる時間は考慮すべき要素の一部に過ぎません。3Dプリント部品の後処理や仕上げ作業も、製作期間全体に含める必要があります。3Dプリンターによる表面品質が滑らかであればあるほど、仕上げ作業の手間が少なくて済みます。Thiebaud氏は次のように述べています。「サポート材を除去するたびに、タッチポイント(造形品とサポート材の接触点)を研磨して痕を消さなければなりません。しかし、Form 4では、必要なサポート材の密度を減らすことができました。プリンターから取り出した時点で、造形品の表面品質は非常に優れています。基本的には、造形品が硬化したらサンドペーパーをかけるだけで完成します。」

Thiebaud氏は当初、PreFormを使用してライトタッチサポートを自動生成し、サポート除去にかかる時間を最小限に抑えつつ表面をよりクリーンに保つことを目指していました。経験を積む中で、さらなるプリントの高速化と仕上げ作業の簡略化を図るため、サポート材の密度やタッチポイントをカスタムで調整するようになりました。加えて手作業で造形の向きを調整し、重要な表面が新品同様に保たれるよう工夫しています。

ノンストップの信頼性

「私たちがFormlabsを見つけたとき、何よりも重視したのはプリントの信頼性でした。ノンストップで稼働してくれますし、かなり酷使しているのですが、一度も失敗することなくプリントし続けられていることに驚いています。信頼性が全てです」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

Thiebaud氏は常に何かをプリントしている人物です。30分でCADモデルを設計できる彼は、絶え間なく試作品をプリントし続けています。このようなプリント量では、プリンターにダウンタイムが発生するとスケジュールに大きな影響を与え、ワークフローに混乱を招くことになります。Thiebaud氏も、「Formlabsを見つけたとき、何よりも重視したのはプリントの信頼性でした」と語っています。

Thiebaud氏は、プリンタに送信した部品が何であれ、必ず正確にプリントされることを確信できるシステムが必要だと語っています。Form 4シリーズプリンタでは、6つの内蔵センサーがレジンの温度やレジンレベル、プリント時の荷重、プリント状態を精密に管理し、さらに予防的なメンテナンスリマインダーがプリンタの安定稼働を支えます。

高品質な試作品で常に一歩先へ

「Form 4Lなら、大きな部品も高品質でプリントでき、手作業での仕上げもほとんど不要ですぐに使用できます。このプリンタを導入して以来、ずっと完璧に稼働してくれています」
Julien Thiebaud氏(Archer、先進技術部門デザインマネージャー)

Archerの航空機を支える最先端のプロトタイピングには、スピード、精度、正確性、そして信頼性が求められます。Form 4Lは、そのすべてにしっかりと応えることができます。精巧な表面品質を実現できるだけでなく、サポート材の取り外しも簡単で、Thiebaud氏と製作チームは無駄な時間を省き、迅速な試作品製作を行っています。



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